大会長挨拶

私の28年間の臨床看護経験から、臨床にはもっと心のケアが必要だと感じていた時、2004年、宮城大学看護学部の佐治順子先生の音楽療法を体験しその効果を実感しました。そして、当時、統合医療の評価法を研究されていた仁田新一先生(東北大学)が主宰する「心の宇宙儀研究会」に出会い、統合医療の普及・研究ライフが始まりました。

「パーキンソン病患者に対する音楽療法の効果-ケアリングの視点からの心の健康の定性的評価-」研究によって、疾患を抱える人間であっても、音楽療法によって人間の基本的欲求充足は、高次のレベルのものまでも獲得されていることが確認されました。

2008年(札幌)から北海道難病連の方々と保健医療福祉職の協力のもとに、音楽、アロマ、ヨーガを、ケアリングの視点で練り直した「統合医療ケア」を受けて頂く統合医療研究のフィールドが得られ、その効果を検証する活動を展開しております。

診療の補助に傾きがちな看護から、心に寄り添った看護を取り戻し『看護の再生・復興』を図るために、統合医療看護は大きな役割を発揮できます。それは、「生活習慣や、認知・否定的な感情につながる思考習慣に対するアプローチ」「審美的・意図的看護ケアの提供、異分野との融合による多元的ケアの創造」「人間の健康の奥深さと拡がりを探求することを支援するスピリチュアルケア」などです。

2017年IMJ学会誌に、「統合医療の理念は現代西洋医学を超えることが可能か否か-こころ・体・霊性を調え癒すケアの実践・教育・研究を通して-」を掲載し、統合医療のパワーは、「現代西洋医学では健康の幅を広げられない疾患・対象者に有効」「情緒的・社会的健康が高まる」「コミュニティの健康を高められる」「ケアを与える者と受ける者が一緒になって1つの事象を創り上げることで、患者の自己治癒が進むばかりでなく、看護師も自身の人間性を深めていく」ため、現代西洋医学を超克すると論述しました。

昨今、看護界では、「ダイバーシティ」の価値に光が当てられてきました。追い風を感じます。統合医療の理念と看護の理念が一致していることからも、看護が統合医療普及に携わることで、看護思想の活用による統合医療理論の基盤構築に貢献可能であり、恩恵も多大であると確信しております。

ニューマンの言葉の<看護>を<統合医療と看護>に変えると、「<統合医療と看護>は、ヘルスケアが継続して発展していくための重要な資源であり、ヘルスケア産業の焦点が交わるところに位置しており、だからこそ<統合医療と看護>はシステムのなかにあって、そのシステムを新しくより高い機能の秩序へと押し上げるうねりを引きこす立場にある」のでなはいでしょうか。統合医療と看護のベクトルを合わせることで、ヘルスケアにイノベーションをもたらすことができます。ダイバーシテイ・ヘルスケアシステムを共に切り開いていくために、全国150万人の看護職、すべての保健医療福祉職の皆様からの統合医療への厚いご支援とご指導を心からお願い申し上げます。

北海道での開催は14年ぶりになります。「大自然と響き合うインテグラティブ・ヘルス-慈しみと現代・伝統・自然医療のシナジー-」のメインテーマを受け、「大自然の統合医療への活用」「全人医療の協同的創造」「食:生命の刷新・健康の増幅」「癒える力を高める療養環境のアートとデザイン」「死生観と良質な最期のときを迎えるための医療」「看護の心をコミュニティの心に」という多様なプログラムを準備しております。雄大な北海道は、自然や生命に対する畏敬の念を抱くとともに、人間の健康を高める偉大な力を有し、また、豊かな食は、病気の予防や健康増進・ウェルネスに大きな力を発揮すると確信しております。

たくさんの皆様のご参加をお待ちいたしております。

第22回日本統合医療学会学術大会(IMJ2018in北海道)
大会長 猪股千代子
(IMJ理事・札幌市立大学看護学部教授)